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6.92023
エルニーニョ現象とラニーニャ現象とは?
近年、地球温暖化による異常気象など、日本を含む世界中の気候が大きく変動しています。今回はエルニーニョ現象とラニーニャ現象の仕組みや、日本に与える影響などについてわかりやすく解説します。
エルニーニョ現象とは
「エルニーニョ現象」とは、赤道付近の東太平洋地域(アメリカと日付変更線あたりまでの太平洋の海域)の海水温が、半年から1年ほど例年より高くなる現象のことです。エルニーニョ現象が起きる原因は「貿易風」という東風が弱まることによって起こるとされています。
普段この海域では、貿易風によって海面の暖かい海水が西に流され、海底から冷たい海水が上がってきます。しかし何らかの要因で貿易風が弱まると、暖かい海水が西に流されないため、冷たい海水が上がってくることができなくなります。そのため、海面の水温が高い状態が続いてしまうのです。するとフィリピン沖(西太平洋地域:日本付近の太平洋の海域)の海水温は例年より低い状態となり、海水温が低くなった結果、上昇気流が生じなくなってしまうのです。
上昇気流が生じないと積乱雲や台風が発達しにくくなります。しかし、台風が発生する地域が例年より南から南東の地域に変化するため、発生する台風は例年より少なくなりますが、発生した場合は中心気圧が平常時よりも低い、強い台風になる傾向にあります。また、太平洋高気圧の張り出しも弱くなるため、日照時間が少なくなるなどの変化が生じ、日本周辺では梅雨が長引くほか、7月から9月頃の気温が例年より低くなり、長雨や冷夏の影響で、農作物に深刻な被害が生じることがあります。一方、西日本の日本海側では降水量が多くなります。また、冬は西高東低の気圧配置が弱くなり、気温が高くなりやすく暖冬になる傾向があります。
ラニーニャ現象とは
逆に、何らかの要因で「貿易風」が強くなると、赤道付近の東太平洋地域の海面の暖かい海水が西にどんどんおし流され、海底の冷たい海水の上がってくる量が増加し、海水温が低い状態が長引くと「ラニーニャ現象」と呼ばれます。
この時、フィリピン沖(西太平洋地域:日本付近の太平洋の海域)の海水温は例年より高い状態となり、海面水温の高いところでは、積乱雲の発生が活発になり、上昇気流が強まります。この影響で、夏は猛暑や集中豪雨になりやすい傾向があります。冬は、上空を吹く偏西風の流れが通常より北へ偏り、日本付近では南へ蛇行する形になり、偏西風の北側にあった寒気が日本へ流れ込みやすくなるため、冬の寒さが一層厳しくなり、寒波や大雪になりやすい傾向があります。
今後の予測
気象庁は6月9日にエルニーニョ監視速報を発表しました。6月の速報で注目されたのは、「 5月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+1.1℃で、基準値より高い値となった 。エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の3月の値は+0.3℃で、上昇傾向が続いている。海洋はすでにエルニーニョ現象の状態になっていることを示している。今後、秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)」と予測しています。また、現在の予測では規模の大きなエルニーニョである「スーパーエルニーニョ」になる恐れもあるとも報じられています。 スーパーエルニーニョとは、海面水温が平年に比べて1.5~2℃以上高くなるなど、水温上昇が大きいものを指します。エルニーニョとは海面水温の基準値との差を、ある月とその前後2カ月の計5カ月の平均値(5カ月移動平均値)としてとったときに、その平均値が6カ月以上続けてプラス0.5℃以上となった場合を指すことからもスーパーエルニーニョの規模の大きさがわかります。実は、今年は冬まで「ラニーニャ現象」が起きていました。冬にラニーニャ現象、夏はエルニーニョ現象が起こるとなると、47年ぶりの現象となります。こういう場合は、ラニーニャ現象の影響が残っているためエルニーニョ現象が起きても、この夏に日本は気温が下がらず、暑い夏になる可能性もあるようです。